『KATSUBO —渇望』
前野隆司 作(2026年)
小さい。
実に、小さい。
なんて、小さい。
僕たち一人ひとりの力。
泣けてきませんか?
俺って、なんて無力なんだ、って
でもね。
俺はまじ、信じている。
正義は必ず勝つ。
いや、勝ち負けじゃない。
正義は、自然と、広がっていく。
正義とは、正しい「義」。
「義」とは、人の行いが、
道徳・倫理・誠実さに適っていること。
つまり、正義とは、
人の行いが、
正しく道徳・倫理に
適っていること。
そんな世界を作りたいんだよね。
ピュアに。
ピュアに、ですよ。
ポリティカリー・コレクト、
とかじゃなくて。
フィロソフィカリー・コレクトですよ。
ポリティカリーに言ってるんじゃないんだよ。
自分の生きる信条として、
絶対譲れない正義として、
言ってるんだよ。
みんなが幸せな世界を作りたいという、
渇望。
そう、渇望なんだよ。
綺麗事じゃないんだよ。
どろどろうごめく僕の心が、
美しくないと嫌だと叫ぶんだよ。
美しい世界を作りたいんだよ。
そう。
だってさー。
みなさん、
美しい世界と、
醜い世界と、
どっちがいいですか?
小学生だって、
美しい方がいいと
いうでしょ。
なのになぜ、
大人は。
なのになぜ、
大人は。
なのになぜ、
大人は、
美しくない方を目指す方が主流なんだよ!
おかしいじゃないか。
ほんと、そう思うんだよね。
みんなで美しい世界を作りましょうよ。
そうじゃなきゃ、
いやですよ。
ほんと。
ねぇ。
どっちがいいですか。
1000年後の人類も、
動物も植物も、
幸せに生きてる地球と。
今の僕たちが地球を
荒らしまくって、
1000年後には
誰も住めない地球と。
まじで。どっちがいいですか?
前者に決まっているじゃないですか。
そう思わない人は、狂っていると僕は思う。
人類は狂ってしまっているのかもしれないとも、
残念ながら、僕は思う。
いや、そう思いたくない。
そんなはずはない。
俺たち、そんなはずはない。
みんなの心の中に、
優しさはあるよね。
大きな愛はあるよね。
必ず、
みんな、
あるよね。
人類80億人。
みんなの心の中に、
優しさって、あるよね。
愛って、あるよね。
みんながみんなに優しい世界。
俺は、それを、信じたい。
みんなも、
その方がいいって、
わかるよね。
わかんない?
わかんない人のところには、
俺が説明しに行きますよ。
まじで。
とことん膝突き合わせて、
説明しますよ。
80億人類、かかってこい。
俺が全員説得してやる。
いや、ほんと。
そういう心意気なんだよ。
まじで。
俺は。
信じてます。
全くなんの曇りもなく、
晴れ渡る青空と
吹き渡る薫風のような
純粋な心で、
信じています。
人類と生きとし生けるものは、
美しい世界を目指していける。
そう、
信じています。
遠い昔のご先祖様も、
遠い未来の子孫たちも、
もちろん今生きる無数の兄弟たちも。
みんなが幸せな世界を、
みんなで目指していけると。
あなたの心は、美しい。
すべての人の心の中に、
美しさがある。
確実にある。
動物も、植物も、人間も、
一見争っているような人々も、
みんな、本当は、美しい。
みんな尊い。
だから、みんな、
みんなで美しい世界を
作りたいと思っているに、
決まっているじゃないか。
自明だ。
あたりまえだ。
疑う余地がない。
そうなんだよ。
当たり前のことなんだよ。
だから、みんな、
思い出そう。
思い出そうではありませんか。
あの懐かしい感覚を。
あなたの中にある、
とっても美しい部分が、
あなたの本質であるということを。
僕たちの世界は、
まばゆいくらい
愛おしい世界だということを。
『灯りのまま』
前野隆司 作(2026年)
道は長く続いてる
途中に小さな灯りがある
どこを照らすかは選べない
でも
ずっと
消えずにいる
たとえ誰も気づかなくても
静けさの中、小さく光る
灯り 灯り 小さな灯り
それでも僕は灯りのまま
『鳥が翼をたたむとき』
前野 隆司 作(2026年)
飛ばない鳥がいました
空はまだあるのに
風の記憶は残っているのに
なぜ飛ばないの?
鳥の中の空は何色なの?
鳥は
じっと
空を見ています
空は
オレンジ色
『種を蒔け』
前野 隆司 作(2026年)
言わないと
未来に
残る
届かない
音の
かたち
それでも
地面は
ひらいている
触れない
確かめない
そこにいない
通りすぎた
あとで
ここに
あったと
知る
——
それでも